「Do力」
うっ…。
何がなんだかわからなかった。
痛いっ、そう思った瞬間、僕の記憶は途切れる。
「あっ、気がついたんだね。よかった…。」
ここは…、どこだ？
そよ風が顔を撫ぜる。心地よい風…。
そして後頭部に感じる暖かさ。なんか、やわらかくてふわふわした感じ…。
ぼやけた視界がだんだんはっきりしてくる。
目の前に広がる壮大な空。
まるで、どこまでも届きそうな、雲ひとつ無い空。
そして、視界いっぱいの虹野さんの顔。…顔？
「だめよ、動いちゃ。じっとしてなきゃ！」
…もしかして、後頭部の感触は、虹野さんのもも…。
で、でも、嬉しい…。
いやいや、そんなことを言ってる場合では…イテテ…。
「だから、じっとしてなくちゃ！」
わかりました…、言うこと聞きます。
「足を軽くひねっちゃったみたいだね。2・3日休めば大丈夫みたいだよ。」
そう、そうなんだ。
「張り切りすぎて、無理しちゃったんだね。その場で意識無くしたときはビックリしちゃったよ。」
ああ、あれは、痛いってもんじゃなかったからなあ。あまりの痛さにその場で気絶しちゃったんだ。
でも、そのおかげで、こんな目にあってるし、役得かもな…。
…って、2・3日休む？それは出来ない！
「無理しちゃダメ！マネージャーとして、許しません！」
で、でも、大会が…。1週間後の試合前に2・3日の休みは…。
「無理したって、いい結果は出ないと思うよ。ゆっくり休んだほうが、良いと思うな。」
そんな事言ったって…。大事な大会前なのに…。僕の努力が…。
「私ね、こう思うんだ。確かにきつい練習をこなす努力は素晴らしいけど、
無理をするのは良い事とは思わないな。」
でも、相手は…。
「時には休むことも大切だと思う。
気持ちがあせっていると、何も見えなくなっちゃう時ってあるじゃない？
そういう時、休もうとする努力、それは素敵なことだと思うなあ。」
…、僕は、なんだか不思議な気分だった。
そういや、この部に入ったのは、虹野さんに誘われたからだっけ。
「努力」とか「根性」とか、そんな言葉がなんか面白くって、その興味で入ったんだっけ。
気がついたら、その「努力」や「根性」が面白くなって、今、部に夢中になってる自分がいる…。
でも、今までの自分には、「努力」とか「根性」の意味は分かっていなかったのかも知れない。
今、初めて「努力」を知ったような…。
「…どうしたの？なんか、ボーっとしてるけど…。」
…ああっ、そういや自分、虹野さんにひざまくらされてるんだっけ！
や、ヤバいっすよ、自分…。
…まあ、いいか。怪我してるんだし、もう少しぐらいこうされてても…。
まんざら悪い話じゃないし…。
「風、気持ちいいね。」
そうだね。心地良いね。
「…私達も、心地良くなれるのかな…。」
えっ、今なんて…。
「あ、アハハッ、今度の試合、勝てるといいね。」
そうだね。
「早く、怪我を治そうね。そして、悔いのない試合にしましょう！」
うん。
「ねえ、約束しない？いい試合にするために、努力するって。」
わかった。約束をする努力も必要だしね。
じゃあ、虹野さんも約束してくれる？
「どんなことかな？」
それまで、僕を応援してくれるって。
「当然じゃない！いつもしてるし、これからもやるつもりだよ。応援する努力を！」
終わり
「Do力」解説
AZ-Kissにとって、2001年最初の作品です。
よりによって、AZが大して好きでもない虹野さんのSSを書くとは、自分でも想像していませんでした(笑)。
きっかけは、某チャットでRicoさんという方と話したときに始まります。
同人を始めたいと言うRico氏の発言に、「じゃあ、AZが清川SSを書くから、挿絵を書いてくれれば…」と言ってしまった事から始まります。
その後思ったことは、｢やっべえ・・・｣(爆)。
清川SS…。考えたら、良いアイデアが無い(笑)。
もし依頼が来たら…、きちんとしたものを書かなければ失礼…、困ってしまいました。
今のうちに、ある程度書く練習をしておこう…、そう思ったのが、1月12日。
そういや明日は虹野さんの誕生日だし、このキャラ使えば出来悪くても罪悪感は少ないだろうという血も涙も無い(爆)想いが頭をよぎりました。
それだけの理由で(笑)虹野さんのSSに決定。
出来が良ければ、虹野ももんがさんか、えるほわさんに差し上げて、脅しの理由に使えるかもって考えてました(核爆)。
AZの頭の中での虹野さんは、｢努力｣とか｢根性｣とか言ってるこのイメージが強いので、テーマはそれを使おうと思いました。
名作｢虹色の青春｣を思い出しながら、虹野さんの｢努力｣に不満があることを思い出し、それを自分の考える｢努力｣を言わせることで、シナリオが作れると考えてみました。
何より根強い人気のあるキャラですから、逆にそれに疑問をもった作品は少ないだろうって読みもあったことは確かです(笑)。
AZの考えた努力は｢努力しない努力｣(爆)。
よく、無理をしすぎたため、結果を出せずに終わる話を聞くので、そういう人は止める努力を怠ったんではないか…、そう考えてみました。
実際、調子が良い時って、動かすのに夢中で無理をしてしまうことがあると思います。
そういう人にとっては、止めるほうが勇気が要る、そう思ったんです。
その｢努力｣を止めさせる手を考える所から始まりました。
まあ、怪我がいいよね…。で、介護してる、と。
で、雰囲気的にも｢虹色｣に近い形を作れれば、あまり悪いイメージはつかんだろう、と考えました。
うわあ、すっごい悪人(爆)。
まあ、後はなんとなくそのときのイメージで適当に書いていくという、結構いいかげんな書き方(笑)で作られました。
そんな作り方もあって、その後の構成では、大変苦労しました。
気絶するほどの痛みにもかかわらず、2・3日で治る怪我があるのか甚だ疑問ですが(笑)、知ったこっちゃありません(爆)。
設定がエロ漫画風だって意見も却下です(笑)。
そういう人は、それをエロ漫画にして送りなさい(爆)。使ってあげるから(核爆)。
他の作品でもそうですが、言葉遣いは結構直しました。
虹野さん風な言葉遣い、上手く書けたか自信は有りません。
ファンの人にとっての虹野さんの言葉遣いって、どういう感じなんですかねえ。
タイトルは…、適当です(爆)。
｢Do｣には、｢努力｣という意味の他に、ベストな動きには疲弊を防ぐための休息も必要という意味合いで、｢動力｣の意味もかねてみたつもりです。
制作にかかった時間は、実質1時間。
思ったより出来よくてホッとしました(笑)。
結局は、どちらかというと苦手なキャラを自分の好みに変えて書いてる感が否めませんが(笑)、読んでる人がそれに気が付かなきゃ良いんで(爆)、気にしないことにしました。
まあ、この出来なら、敵に恩を売っておくことも出来る(爆)、なんてことを考えていたかは秘密(笑)。
…というわけで、習作の作品ですが、気に入っていただければ幸いです。
感想は、AZのHP(http://www.geocities.co.jp/Playtown-Dice/8005/)の伝言板か、AZのメール(az-kiss@geocities.co.jp)に送るかしていただけるとありがたいです。
また、上記のＨＰで、寿美幸のＳＳが読めるので、興味のある方は一度遊びに来て下さい。
ただし！美幸ちゃんの悪口を言うと、怖いですよー(笑)。覚悟しなさいね〜。
半端なファンは、瞬殺されることもあるんで、気を付けましょう。ＡＺは本物の美幸バカです(核爆)。にゃー。
人間性で美幸ちゃんを分析した人って、ＡＺ以外には、某｢ＫＡＭＥ｣氏ぐらいしかいないんじゃあないかなあ…。
ついでに、そのＨＰからのリンクで、｢琴蕗深雪｣さんのオリジナル小説も読めます。
え？そいつは何者かって？来ればわかりますよ(笑)。日根の方は特によろしく。