最終章 〜出会えて良かった(2)〜

  「ドン!」
 (主人公)「たたたた…何だ、一体?」
 (???)「あ、ごめんなさい。あの、この度はおめでとうございます」
 (主人公)「えっと、誰?だっけ?」
 (???)「あ、何でもないんです。ただ、あなたが今日結婚式を迎えるって聞いてお祝いに来ただけですから。」
 (主人公)「お祝いは嬉しいんだけど、俺は君の事知らない訳だし。」
 (???)「あ、いや、別にいいんです、こうして逢えただけで。それでは、失礼します。」
 (主人公)「あ、その、ちょっと待って?」

 こうして謎の女性は名前も告げず走り去っていった。そして、二次会が終わってホテルの部屋に戻った時、沙希は俺に向かってこう切り出した。

 「ねぇ、あなた本当にあの人のこと知らないの?」
 「うん。顔も見たことないし、口きいたことだって一度も…」
 「そうだったんだ?」
 「実はね、あの人も私たちと同じきらめき高校出身なんだよ。」
 「え?」
 「卒業式の日、私があなたの机の中に手紙入れて教室に戻ろうとした時に廊下ですれ違ったんだ。」
 「そうだったんだ…」
 「たぶん、あの子もA組の誰かに告白したかったんだろうなって思いながら自分の教室に戻ったんだけど、しばらくしたらその子が私のところにやってきたの。」
 「へぇ? それでどうなったの?」
 「それでね、その子が言うには告白したかった相手は実はあなただったことや、高校に入ってからすぐに一目ぼれしたことなど、いろんなこと話してくれたの。それでね?」

 ここで沙希は一呼吸間をおいて、またゆっくりと話しはじめた。

 「彼女、J組の館林見晴ちゃんっていうんだけど、その日をきっかけにお友達になって…」
 「だから、今日は私が招待したの。黙っててごめんね。突然でびっくりしたでしょ?」
 「そんなことないよ。でも、ちょっと辛そうな顔してたみたいだったけど?」
 「うん、そうかもね。でも、私があなたとこうして一緒になりたいって勇気出せたのも彼女のおかげなんだから。」
 「彼女の、見晴ちゃんの想いを知った時、ここは私が勇気を出すときだって、そう思ったの。彼女のためにも。」
 「そんなことがあったなんて、全然知らなかったな…」
 「あ、それは、彼女からあなたには何も言わないよう頼まれてたから」
 「で、それを行動に移したのが去年のクリスマスだったという訳なの。」
 「そうだったんだ。何か俺、彼女に悪いことしたのかな。」
 「そんなことないよ。あなたは何も悪くないわ。気にしないで。」

 それから、沙希は舘林さんから聞いた話のありったけを俺に聞かせてくれた。
 聞いてるうちに、どんなことがあってもこの女性(ひと)を、沙希を幸せにしないといけないと改めて心に誓った。

 「あのね、もう一言だけ言わせて。」
 「うん。で、言いたいことって、何?」
 「あなたに」
 「あなたに、出会えて良かった」

 こうして、二人はゴールにたどり着くと同時に新たなスタートをきった。
 そう、きらめき高校の伝説でもある「永遠に幸せな関係」となって…

 〜Fin〜

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